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災害リスクに対する電力レジリエンスの強化

電気事業連合会

概要

近年の気象災害において,事前対策(ハード対策)だけをもって電力流通設備の被害を完全に防ぐことは困難であることから、フェールセーフの考え方にのっとり、事前対策の効果を踏まえた具体的事後対策の説明を、国や自治体等から求められることが増えている。よって、電力システム全体,地域全体という視点から事前対策と事後対策のバランスを考慮した災害対策の在り方すなわち電力レジリエンスの強化策の具体化が急がれている[1]。
このような背景のもと電気事業連合会及び連携先各社では、気候変動に伴うマルチハザードに対して、リアルタイム災害情報と設備情報を組み合わせ、より確度の高い広域ハザード情報や設備被害予測結果を必要なタイミングで、提供する仕組みや技術の開発を進めている。

説明

【マルチ気象ハザード評価法の構築】
領域気候モデルなどを用いて、流通設備のハザード評価に必要な日本全国の気象データベースを整備し、気象ハザードのマップ化を図る。同時に、流通設備の耐用年数、気候変動の影響を加味した近未来(20〜30年後など)の気象計算結果を基に、将来気象のデータベースを構築する。また、気象レーダや気象観測値を気象モデルに反映させるデータ同化手法、アンサンブル手法や気象解析手法などを高度化し、事故時の気象状況の定量的な把握を図る。

【マルチ気象ハザードに対応した被害予測モデルの構築】
各電力会社の電力設備に被害をもたらしうる気象ハザードを精査してリアルタイムに受信できるプラットフォームを構築し、電力設備の被害予測を即時的に行える電力レジリエンスの強化対策を検討する。また、気象災害により複合的に発生する河川氾濫や土砂崩れ等の間接被害に起因する被害事象を精査し,被害予測の精度向上を図る。

【センシング技術を応用した被害予測技術の高度化と実務適用】
最新の巡視・予測情報や衛星(ヘリ)、MEMS型センサ等からのセンシング情報をリアルタイムに活用する仕組みや技術を開発し、各自然事象や電力システム全体としての特性を踏まえた事前対策・事後の復旧対策(被害推定、被害検知の高度化を含む)について、その効果の検証法も含めて検討し、最適な対応策を明らかにし具体化する。

連携先

北海道電力株式会社、東北電力株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、中部電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社、沖縄電力株式会社、電源開発株式会社、一般財団法人 電力中央研究所

補足情報

[1] 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会/産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会 合同電力レジリエンスワーキンググループ
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/resilience_wg/index.html

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