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BEMS (Building Energy Management System)

鹿島建設株式会社

図1 建物に導入するBEMSの構成

図2 ライフサイクルにおけるエネルギーマネジメント(LCEM)の考え方

図3 BEMSを活用した高度なエネルギーマネジメントの例

図4 複合施設「東京イースト21」におけるエネルギーネットワークの構成例

概要

建築のライフサイクルの中で、運用時におけるCO2排出量は70%以上を占めると言われています。運用時のCO2排出は照明や空調と言った建築設備のエネルギー消費に由来しますが、単にエネルギー消費を減らすだけでは「暑い」、「寒い」、「暗い」といった使いづらい建物になってしまいます。建物利用者のことを考えた「エネルギー使用の合理化」により省エネルギーを図るには、温度や明るさ(照度)と言った建物利用状況を含めて、エネルギー利用状況を監視する設備が必要です(図1)。また、建物単体ではなく、エリア内複数の建物で相互にエネルギーを融通する複合施設では、さらに高度なエネルギー管理が必要になります。
鹿島は建物の規模と用途に応じて、エネルギー利用状況と室内環境を監視するBEMSの計画と施工を行い、運用時に管理者が行う合理的なエネルギー利用を支援して持続可能な社会の実現に貢献します(図2)。

説明

1998年に竣工したJR小倉駅ビルに当時としては最先端のBEMSを導入して以来、鹿島は多くの建物でBEMSを用いたエネルギー管理とそのノウハウを蓄積してきました。
省エネルギーの実現にはBEMSで収集されるエネルギー消費や室内環境に関する情報を適切に活用することが重要です。導入初期はこれらの情報をグラフで可視化し技術者が分析していました。IT技術の進歩で建物を構成するあらゆる機器の運転状態を含む建物の運用情報がコンピューターに蓄積されるようになると、その膨大なデータの分析することは、熟練した建築設備の運転管理者であっても、非常に労力を必要とする様になりました。
鹿島はこれまでBEMSデータの分析を行ってきたノウハウをプログラム化して、自動的に建築設備のエネルギー消費上の無駄や削減余地(エネルギーフォルト)を抽出するシステムを開発しました(図3)。このシステムを活用することにより、タイムリーに分析結果を建築設備の運転管理者にフィードバックし、省エネルギー性能の最適化と向上を可能にしています。

また、熱と電気を相互に融通しあう複合施設のエネルギーネットワークでは、対象が建物単体から施設間全体に広がりました。複合施設のエネルギー管理の実施例としては東京イースト21が挙げられます(図4)。
複合施設では太陽光発電や商用電力の利用と共に、コジェネレーションシステムによる熱電併給システムが用いられ、空調に必要な熱量を効率よく供給する蓄熱システムが併用されるなど、機器構成が複雑になります。この様に大規模かつ、複雑なネットーワークにおけるエネルギー管理にはシミュレーションによる予測と分析を用いて、エネルギー利用の合理化を進めています。

補足情報

鹿島建設HP、鹿島の環境技術、エネルギー改革
https://www.kajima.co.jp/tech/eco_tech/energy/#54

鹿島建設HP、建物のライフサイクル技術
https://www.kajima.co.jp/tech/tatemono_sodan/index.html

鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050
https://www.kajima.co.jp/csr/environment/target/index-j.html

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