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火力の高効率・高機動力化

電気事業連合会

概要

東日本大震災以降、現在の日本の発電電力量に占める火力発電の割合は80%を超えているが、エネルギー基本計画では、エネルギーミックスを進めて2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で26%削減するとしている(火力発電の構成比率:56%程度、再エネ:22~24%程度、国全体の排出係数:0.37kg-CO2/kWh)。ゼロエミッション社会へ移行する間、火力発電には一定の役割が求められており、電気事業連合会及び連携先各社(以下、電事連関係各社)は、火力発電の高効率化を更に追求した次世代火力発電[1]の実現に向けて取り組むことで、温室効果ガスの削減に貢献する。また、自然変動型再エネの導入拡大を可能とするため、火力発電の機動力や調整力を向上させる取り組みにも着手している。

説明

【火力発電の更なる高効率化】
火力発電の熱効率は、最新技術の導入により年々向上しており(発電端効率の平均値:2015年度時点で45%、1990年度は41%, LHV基準)、世界最高水準を維持し続けている。電事連関係各社では、常に最新鋭の高効率石炭火力の導入を進め、蒸気温度600℃/630℃級のUSC(超々臨界圧火力発電)の採用など蒸気条件の向上による高効率化のほか、空気吹きIGCC(石炭ガス化複合発電)実証機を開発し、中規模でも高い効率を実現している。
一方、天然ガス火力については、コンバインドサイクル発電(ガスタービン複合発電GTCC)を1980年代から導入し、大幅な高効率化を進めた。現在では、大容量化とガスタービン入口温度の高温化により更に熱効率の高い1600℃級GTCCを採用し、商用運転を行っている。
今後もCO2排出量削減に繋がる発電効率向上の取組みをすすめていく。

【火力発電の高機動力化】
自然変動型再エネの普及をすすめつつ、安価で安定した電力供給を維持するため、火力発電は電力需給バランスの調整や系統の周波数調整などに重要な役割を果たしている。今後は、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に伴い、起動時間の短縮、出力変化速度の向上、最低出力の引き下げかつ部分負荷帯でも高効率なことが求められる。このことから、ガスタービンについては、中小容量機(~20万kW級)でも高効率かつ機動力に優れるAHAT(アドバンスト高湿分空気利用ガスタービン)の実用化に向けた検討を進めている。これまで、4万kW級実証機により信頼性の検証を行うとともに、商用規模システムの概念設計および動特性解析から優れた機動性を有することを確認した[2]。

連携先

北海道電力株式会社、東北電力株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、中部電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社、沖縄電力株式会社、電源開発株式会社、一般財団法人電力中央研究所

補足情報

[1]経済産業省「次世代火力発電に係る技術ロードマップ」
https://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160630003/20160630003.html

[2]電力中央研究所報告M18003「アドバンスト高湿分空気利用ガスタービン(AHAT)システムの研究開発」
https://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/detail/M18003.html

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