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自然エネルギー利用の自動カイトシステム“Seawing”及び“K-IMS”を利用した効率運航によるカーボン排出抑制

川崎汽船株式会社

概要

当社は自然エネルギー利用の自動カイト(凧)システム“Seawing” *1を当社保有の大型バルクキャリアー(ばら積み船)1隻へ搭載することを決定した。“Seawing”は本船船首部に搭載され、風力を利用して本船の推進力を補助するもので、大手航空機メーカーのAIRBUS 社から分社したAIRSEAS 社*2 が開発。
当社とAIRSEAS社との間では、当社運航船に搭載している船舶運航・性能管理システム“K-IMS”*3 から得られる運航・性能データを活用し、“Seawing”の更なる性能向上を目指した共同開発の実施に向けて取り組んでいる。

説明

“Seawing”は、自然エネルギーである風力を利用し、船舶輸送の推進力補助に飛躍的な進歩をもたらす航空ノウハウと海事テクノロジーを組み合わせたもの。ブリッジ(船橋)からの簡単なスイッチ操作のみで、自動的にカイトの展張や格納が可能となっている。
このシステムは、気象データと海洋データをリアルタイムで収集して分析の上、性能の最適化と最大の安全性を確保するためにその情報を活用。一定条件の風力・風向の下、ブリッジ(船橋)からの操作で展張し、風力により本船の推進力を補助する。
この自動カイトシステムの当社保有船への搭載にあたり、当社はAIRSEAS社協力の下、2 年間に渡り“Seawing”の性能や革新的な技術について詳細に評価の上、本システムが本船運航に伴う環境負荷の低減に大きく貢献することを確認。具体的には同船型での比較において20%以上のCO2 排出量削減効果があり、1 隻あたり年間5,200 トンのCO2 削減が期待できる。
また、同社との間では、当社運航船に搭載している船舶運航・性能管理システム“K-IMS”から得られる運航・性能データを活用し、“Seawing”の更なる性能向上を目指した共同開発に取り組むことも合意している。

(注1)Seawing: 船舶輸送の推進力補助に飛躍的な進歩をもたらす航空ノウハウと海事テクノロジーを組み合わせた自動カイト(凧)システム。簡単なスイッチ操作のみで、自動的にカイトの展張や格納が可能。このシステムは、気象データと海洋データをリアルタイムで収集して分析の上、性能の最適化と最大の安全性を確保するためにそれらの情報を活用している。

(注2)AIRSEAS 社: AIRBUS 社から分社した会社で、革新的なエネルギー効率ソリューションを海運にもたらす飛行制御技術、モデリング技術における航空技術ノウハウと海事テクノロジーを持つ。

(注3)K-IMS(Kawasaki – Integrated Maritime Solutions): 当社と川崎重工グループとが共同開発した統合船舶運航・性能管理システム。船舶から自動送信されるリアルタイムな運航データと気象データ等、所謂ビッグデータを通じ、陸上オフィスでもリアルタイムで本船運航状態の確認、最適安全航路の選定及び最新の本船運航性能等を把握することで、陸上からの本船の運航支援と性能管理を容易に行うことを可能としたもの。本船の安全運航と燃費削減に寄与するばかりではなく、陸上における運航管理及び船舶管理効率化の飛躍的向上をもたらした。
更に当社は、国土交通省が募集した「先進安全船舶技術研究開発支援事業」に川崎重工業殿及び当社グループの船舶管理会社であるケイライン シップマネージメント社(当時)と共に応募し、「船体特性モデル自動補正機能による解析精度高度化及び安全運航への応用」が海上ブロードバンド通信の利用による船舶機器等のIoT化やビッグデータを活用した「先進安全船舶」の開発推進に値するとの評価を受け、支援事業として認可された。
この事業を進めることで、『K-IMS』の要素のひとつである最適運航システムの精度が格段に向上し、適切な航路選定を実現することで本船の安全及び経済運航の更なる向上が期待される。
『K-IMS』は2016年3月から本格運用しており、運用開始後も継続して安全・経済運航の強化を図る目的で当該システムの追加開発(Phase-2)も実施。追加開発で得られたデータの可視化の深化や船体経年汚損評価等、新機能を含めた本システムの有効活用を図るとともに、現在取り組み中の機関プラント運転支援並びに故障予知診断機能の開発にも引き続き注力し、これまで以上に安全運航と効率運航を推進して行く。

連携先

・AIRSEAS社と共同研究・開発(“Seawing”)
・川崎重工グループ(K-IMS)

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