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ZEB(ゼロエネルギービル)の普及展開による低炭素社会の実現

大成建設株式会社

図① 大成建設ZEBロードマップ

図② ZEB化検討ツール「T-ZEB シミュレーター」

図③ WELL認証

概要

 ZEBは、Zero Energy Building の略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにすることを目指した建物を意味します。2014年の国のエネルギー基本計画において、「2020年までに新築公共建築物で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを目指す。」ことが示されています。

 大成建設は、2014年からZEB実証棟を運用開始し、建物単体での年間エネルギー収支ゼロを5年連続で達成し、ZEB化技術の蓄積により、ZEB化検討ツール「T-ZEBシミュレーター」を開発し、ZEB建物の普及拡大を実現しています。また、建物に求められる環境性能として、ZEB(省エネ性)に加えて、WELL(快適性)の向上にも取り組み、新しい付加価値を創出しています。

説明

(1)大成建設のZEB普及展開のロードマップ

 大成建設は、国のZEBロードマップに先駆け、2014年に「都市型ZEB」、2016年に「リニューアルZEB」、2017年に汎用設備による「テナントオフィスビルZEB」を実現させ、2018年以降は「公共施設ZEB」「研究施設ZEB」「高層建物ZEB」など、様々な用途、規模の建物において、ZEBの普及拡大を実現しています(図①参照)。今後、2030年までに「新築建物の平均でZEBの実現」や、「SDGsにおいてもCO2の削減」が求められており、大成建設は、これまでに蓄積したZEBの実績を基に、新たなZEB化技術の開発、他の用途や既存建物へのZEBの展開などを積極的に行っていきます。

(2)T-ZEBシミュレーターによるZEB実現のサポート

 多くのZEBを実現してきた実績を踏まえて、独自開発したZEB化検討ツールが、「T-ZEBシミュレーター」です。全国のZEB化を目指す建物に対して立地や周辺建物などの影響を考慮した太陽光・風力・地中熱などによる「創エネルギー量」と、計画建物に省エネルギー手法を導入した場合の「エネルギー消費量」とのエネルギー収支をさまざまなパターンで比較検討することができます。本ツールの開発により、ZEBレベルの検討に加え、イニシャルコスト、ランニングコストの費用対効果の試算も可能であり、計画初期段階におけるZEB化検討を迅速に行うことができます。(図②参照)

(3)ZEB普及展開に加え快適環境の実現

 最近、働き方改革の推進や、健康経営等の取り組みが企業において注目されており、建物性能として、ZEB(省エネ性)に加え、WELL(快適性)の向上が求められてきています。そこで、ZEB実証棟において、2019年に快適性を向上させるリニューアルを行い、WELL認証(米国の健康建築性能評価制度)の最高ランクとなる「プラチナ」を取得することができました。建物全体で最高位のプラチナを取得したのは、世界初の事例となります(図③参照)。WELL認証の取得により、「省エネルギー性」と「快適性」という、一見、相反する建物性能の両立も実現可能であることが実証できました。大成建設は、ZEBの普及展開に加え、快適環境の実現も推進していきます。

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