作業現場におけるCO2削減の取り組み

大成建設株式会社

図①　TAISEI Green Target 2050

図②　TAISEI Sustainable Action アクションリスト

図③　先進的環境配慮型作業所事務所

概要

　大成建設は、持続可能な「環境配慮型社会」の実現に向けて、2050年までに「CO2排出量80％削減（1990年度比）」を達成するために、事業活動の中心となる作業現場におけるCO2排出量削減の取り組みに重点を置いて取り組んでいます。

　全ての作業所で施工段階のCO2を削減するための基礎的な取り組みとして、2011年より「CO2ゼロアクション」を実施しており、これを一歩進めて、更なるCO2排出量の削減を目指して2018年より環境負荷低減活動「TAISEI Sustainable Action（TSA）」を展開しています。そしてこの活動の一環として、先進的環境配慮型作業所事務所を設置して国内で初めて仮設建築物においてZEB Ready の認証を取得し、近未来の作業所事務所のあるべき姿を示すことで作業所におけるCO2削減を更に加速する取り組みを開始しています。

説明

　大成建設はグループ会社と共に持続可能な「環境配慮型社会」の実現に向けて積極的に取り組んでいます。

　2018年には中長期の環境目標「TAISEI Green Target 2050」を制定し、2050年に「CO2排出量80％削減（1990年度比）」を目標とするとともに、そのマイルストーンとして、2030年目標を設定しています。（図①参照）

　大成建設が事業活動を通じて排出するCO2排出量のうち、建設作業所内の重機や車両などの燃料や電力使用による工事で発生する割合は90％以上を占めていることから、作業現場におけるCO2排出量削減が喫緊の課題となっています。

　これまで全作業所で展開するCO2排出量削減の基礎的な取り組みとして、「CO2ゼロアクション」活動を実施してきました。この取り組みは、CO2排出削減を効果的に進める7つの基礎的な活動を実施するもので、建設機械・車両の日常点検・整備、アイドリングストップ、事務所・詰所の照明のこまめな消灯、事務所・詰所の冷暖房温度の抑制など、現場ですぐに取り組み可能な事項を設定して全国の作業所で取り組んできました。

　また、より一層の環境負荷低減に向けた活動を推進するために「TAISEI Sustainable Action（TSA）」（図②参照）の取り組みを開始しています。

　この取り組みは、作業現場や作業所事務所それぞれにおいてCO2削減のための豊富で具体的な活動内容を示したメニューを提示し、各作業現場の状況に合わせて作業所毎に最適なCO2削減活動を行えるように支援するシステムです。メニューは、現場仮設照明のLED化からハイブリッド型重機の採用や再生可能エネルギーの利用まで、さまざまなレベルの取り組みを挙げており、これまで気が付かずに見過ごされてしまっていたCO2削減要素を最大限網羅することで「CO2削減漏れ」を防止し、CO2の削減効果をより一層高めることを目的としています。

　そしてこの活動を一層推進するための象徴的取り組みとして、先進的環境配慮型作業所事務所を設置しました。（図③参照）都内の2か所に設置したこの作業所事務所は、国土交通省の定める建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)において５段階評価の最高ランクを獲得するとともに、全国で初めて仮設建築物としてZEB Readyの認証を取得しました。両作業所事務所は、断熱性能の向上や汎用的な省エネ機器の採用など、当社のZEB建築の実績・知見を駆使して標準的な建築物と比べて一次エネルギー消費量を52％～54％削減しています。リースで対応することが多い仮設作業所事務所の特性を考慮して、市場で入手しやすい機器・材料だけでZEB Ready を実現したことで、近未来の作業所事務所のひとつの標準形を示すことができ、普及展開が大きく期待されます。

　なお、両作業所事務所は先進的な環境配慮だけではなく、快適性も重視して魅力的な職場環境を実現する「ウェルネス作業所」としても実現しており、省CO2とウェルネスの両立が可能であることも併せて示し、将来の普及を目指しています。