EN

集光型太陽光発電装置(CPV)による発電効率UP

住友電気工業株式会社

概要

CPVにおける我々の目標は、発電効率を上げることによって、エネルギーペイバックタイムを短縮し、長寿命化を図ることによって、通常の太陽光発電装置より環境に優しい発電装置を実現することである。レドックスフロー電池に関しては、火災のリスクが全くないという重要な特徴が広く社会に浸透し普及させることができるように、より環境に優しい電力系統用蓄電池の性能向上を図るとともに、低コスト化を実現することが目標である。電力の需給バランスの改善や、再エネの導入可能な量を増やすことにより、CPVをはじめとした種々の再エネの導入を促進できる環境を整備していく。

説明

太陽光発電は、発電の際に二酸化炭素を発生しないため、地球温暖化防止に役立つクリーンなエネルギー源であり、再生可能エネルギー(再エネ)の代表的なものである。日本も加盟しているパリ協定では、地球温暖化防止のために二酸化炭素排出量を削減することが求められており、太陽光発電は二酸化炭素を排出しない重要なエネルギー源といえる。通常の太陽光発電のエネルギーペイバックタイム(装置を製造するのに要したエネルギーを、その装置が発電するエネルギーによって何年で回収できるかを示す値で、環境に対する優しさを示す指標の一つ)は1~3年程度と言われているが、CPVは通常の太陽光発電装置に比べ発電効率が2倍以上高いため、エネルギーペイバックタイムは、同等以下と考えられる。また寿命も、通常の太陽光発電装置と比べ約2倍長く、約20~30年程度と考えられている。すなわち、製造時に必要としたエネルギーに対し、その生涯において生み出すエネルギーの大きさの比率は、通常の太陽光発電装置が約10倍と考えられているのに対し、CPVは約20~25倍と試算される。我々の目標は、発電効率を上げることによって、エネルギーペイバックタイムを短縮し、長寿命化を図ることによって、より環境に優しい発電装置を実現することである。

一方、再エネの中でも、太陽光発電や風力発電などは、発電量が天候に左右され、コントロールするのが難しいという弱点がある。そうした再エネの不安定性という問題を解決する装置として期待されているのが、大規模蓄電池である。この大規模な蓄電池を、再エネ発電装置や基幹系統に接続すれば、電力が余った時には蓄電し、電力が不足した時には放電することで、系統電力の安定化を図ることができる。このように電力系統に接続して利用されるのが、電力系統用蓄電池である。経済産業省は、2013年から進めている「大型蓄電システム緊急実証事業」や、2015年の「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」、2016年の「大型蓄電システムによる需給バランス改善実証事業」などを通じて、蓄電池の実証実験を支援している。当社のレドックスフロー電池も、北海道電力の「南早来変電所」において実施された大型蓄電システム実証事業に採用された。2015年12月に設置が完了し、再エネ発電による出力変動が電力系統に生じる影響を緩和することを狙った実証試験や、系統用蓄電池の効率や寿命の最大化を図るため、最適な制御や運転技術を確立することも目指した。その結果、再エネの出力が急激に変化した場合でも、蓄電池に貯めた電気を出力することで、平滑化できることを実証することができた。通常、蓄電池はリチウムやナトリウムのような燃えやすい金属を用いるため、火災のリスクがある。これに対し、レドックスフロー電池は、燃えやすい材料を一切使っていないため火災のリスクがゼロである。電力系統用蓄電池は規模が大きいため(北海道電力の実証システムの規模は出力1万5000kW、容量6万kWh)、火災のリスクがゼロという特徴は極めて重要であり、環境に対して非常に安全なものである。レドックスフロー電池は、電解液に用いる化学物質のイオンの酸化還元反応を利用して充放電をおこなう蓄電池であり、充放電サイクルの寿命が長く、運転状態であっても充電状態を正確にモニタすることが可能など、他の蓄電池に比べ、環境に優しいアドバンテージが多い。このように、電力系統用の蓄電池を使うことで、電力の需給バランスを改善したり、再エネの導入可能な量を増やしたりすることが可能となる。我々の目標は、より環境に優しい電力系統用蓄電池の性能向上や、低コスト化を目指し、再エネの導入を促進できる環境を整備していくことである。

この会社の他の事例

SiC V溝型スーパージャンクショントランジスタの実用化

住友電気工業株式会社

> 詳細を見る

高温超電導技術の開発・普及

住友電気工業株式会社

> 詳細を見る

類似事例

2モータシステム用パワーユニット 「4GL-IPU」

三菱電機株式会社

> 詳細を見る

AI/IoTを活用した分散電源(VPP)のデマンドレスポンス(DR)対応

日本電気株式会社

> 詳細を見る

AI制御で最大50%の基地局電力使用量を削減

KDDI株式会社

> 詳細を見る

BEMS (Building Energy Management System)

鹿島建設株式会社

> 詳細を見る

CO₂を分離するサブナノセラミック膜の開発

日本ガイシ株式会社

> 詳細を見る