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メタネーション関連技術を用いた都市ガス原料の低炭素化・脱炭素化へのチャレンジ

大阪ガス株式会社

概要

都市ガス業界は、短中期的には天然ガスシフトや天然ガスの高度利用等の「需要側の低炭素化」の取組みにより、温暖化対策や長期エネルギー需給見通しにおける2030年の目標達成等に貢献していく。また中長期的には、メタネーション技術等のイノベーションによる更なる低炭素化・脱炭素化にチャレンジしていく。
メタネーション技術はCO2を原料として都市ガスの主成分であるメタンを生成するカーボンリサイクル技術であり、既存の都市ガスインフラや需要家側設備を活用し、社会コストを抑制しながら都市ガス自体を脱炭素化する技術として期待されている。
大阪ガスは日本ガス協会と連携しながら、「水電解・サバティエ反応技術」と「SOEC共電解・メタン化反応技術」によるメタネーションの進展に貢献していく。特に後者は水素流通を前提としない、より高効率なメタネーション技術として期待されており、大阪ガスはNEDOの「CO2有効利用技術の先導研究(CO2直接分解)」事業への参画などを通じて積極的に基礎研究に取り組んでいく。

説明

政府の「革新的環境イノベーション戦略」において、メタネーション関連技術は、温室効果ガスの削減量が大きいと期待される39テーマの一つに位置づけられている。メタネーション技術により生成されたメタンを都市ガスの主成分として用いることが出来れば、既存の都市ガスのインフラや需要家側設備を活用し、社会コストを抑制しながら脱炭素化へ貢献できるため、温室効果ガスの削減に向けて期待されている技術である。そのような中で大阪ガスは日本ガス協会とも連携し、「水電解・サバティエ反応技術」と「SOEC共電解・メタン化反応技術」によるメタネーションに取り組んでいる。特に後者については、大阪ガスは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「CO2有効利用技術の先導研究(CO2直接分解)」事業(2019-2020年度)に産業技術総合研究所とともに応募し、2019年7月に採択され、基礎研究に取り組んでいる。

① 「サバティエ反応によるメタネーション」
本技術は、再生可能エネルギー電力等により水を電解して得られる水素と、多様なCO2の回収技術により回収されたCO2を用いて「サバティエ反応※」によりメタンを合成するものである。
※ 「サバティエ反応」とは、触媒を介してCO2とH2を反応させてCH4を生成するものであり、反応式は以下の様に表される。
CO2+4H2 → CH4+2H2O

この技術については、基本的技術要素は既に確立されているが、実用化に当たっては、反応時に発生する熱の制御技術の確立や触媒の耐久性向上、反応器設計、装置のコンパクト化などの課題がある。
大阪ガスは、この技術に関して、実証試験を進めている事業者も参画しているCCR(Carbon Capture & Reuse)研究会において主導的な役割を果たしている日本ガス協会と連携し、技術開発ロードマップ作成や、将来的な大容量の商用化/建設検討等、将来の社会実装等に向けて貢献している。

② 「SOEC共電解・メタン化反応技術」
本技術は、SOEC*1を用いて、水蒸気と共にCO2を再生可能エネルギー電力等により電気分解(共電解*2)することによって水素とCOを生成し、メタン化反応*3によりCH4を合成するものである。
*1 Solid Oxide Electrolysis Cell:固体酸化物形電解セル。SOFC(Solid Oxide Fuel Cell:固体酸化物形燃料電池)の逆機能デバイス。
*2 共電解反応の反応式は以下の様に表される。
CO2+3H2O(+電力)→ CO+3H2(+2O2) (吸熱反応)
*3 メタン化反応の反応式は以下の様に表される。
CO+3H2 → CH4+H2O (発熱反応)

この技術では、メタン化反応(発熱反応)で発生する熱をSOEC共電解反応(吸熱反応)に有効利用することが可能であり、共電解に必要な電力を削減できるため、「水電解・サバティエ反応技術」に比べエネルギー変換効率が高いという特徴がある。さらに水素の流通を前提としない等の特徴がある。
このように「SOEC共電解・メタン化反応技術」は理論上、非常に高効率であり、多くの利点があるが、解決すべき技術的課題は多く、まだ基礎研究段階であると言える。
そこで、この技術の可能性と取り組むべき課題をより明確にするために、大阪ガスでは産業技術総合研究所と共同で、NEDOの「CO2有効利用技術の先導研究(CO2直接分解)」事業(2019-2020年度)にて、SOECの共電解性能の向上、メタン化反応の制御等の技術課題に関する基礎研究に取り組み始めている。

さらに、日本ガス協会が取り組んでいる「共電解技術を活用したメタネーション」の優位性の検証についても連携している。
再生可能エネルギー電力の大量導入と低コスト化及び、CO2の大規模集約的回収法の確立と低コスト化が実現し、更に、メタネーションによる都市ガス製造のコストや安定性が他原料による都市ガス製造に劣後しない水準となった場合には、当該都市ガスを需要家に供給・販売することを想定し、「共電解技術を活用したメタネーション」の商用化を目指し、必要な基盤技術開発や実証試験の実現に向けた基礎調査・研究に取り組んでいく。

連携先

産業技術総合研究所
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
日本ガス協会
CCR研究会(https://ccr-tech.org/

補足情報

日本ガス協会 温暖化対策の長期ビジョン(都市ガス・天然ガスを活用した長期地球温暖化対策への貢献の絵姿)
https://www.gas.or.jp/kouken/

「次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電技術推進事業/CO2有効利用技術の先導研究(CO2直接分解)」に係る実施体制の決定について(NEDO)
https://www.nedo.go.jp/koubo/EV3_100189.html

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