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軽量・高耐熱セラミック複合材料による航空機エンジンの燃費改善

イビデン株式会社

概要

航空機の燃費改善によるCO2排出の削減をするためには、エンジン部品の軽量化と燃焼効率向上の鍵となる高温耐熱性向上が不可欠になる。これを実現するために当社では、高温セラミック成膜技術・グラファイト製造技術をコアに、金属の1/3程度の軽量、金属の耐熱温度(1,000℃以下)を大幅に上回る1,400℃級の高耐熱性を有するセラミックス基複合材料(CMC*1)のエンジン部品としての実用化に向けて、信頼性・耐久性に優れたSiC/SiC複合材料の開発を進めていく。また、複合材料の技術波及により、世界の経済と環境保護を両立させるために貢献していく。

説明

航空機業界において、燃費改善、環境適合性向上、安全性向上等の市場ニーズが高まっており、航空機エンジンには、信頼性・安全性を確保した上での高効率化による経済性向上と規制強化に対応するための環境性向上への要求がある。

① ジェットエンジン軽量化への貢献
ジェットエンジン自体の軽量化も、航空機の燃費改善に向けた課題の一つである。金属に対して軽量性に優れるセラミックスの欠点である靭性をセラミックス繊維で強化した複合材料(CMC*1)により改善し、CMCエンジン部品として実用化することで、エンジン自体の重量削減による燃費改善効果に貢献する。
【めざす成果】 従来の金属部品に対し、1/3程度の軽量化と耐久性の両立

② エンジン燃焼器の高耐熱化対応による燃費改善
航空機の燃費改善(高効率化)によるエネルギー消費量およびCO2排出の削減と排ガス低減に貢献する。CO2削減のためのエンジン燃焼の高効率化(省燃費)には、燃焼器の高耐熱化により、冷却空気量の削減を行い、少ない燃料で安定して希薄燃焼を保つ必要がある。これを実現するためには、耐熱温度が高耐熱金属より高く、同じ素材の繊維と複合化したSiC/SiC複合材料(SiC:シリコンカーバイドを母材とするSiC繊維との複合材料)の適用をめざす。高耐熱のSiC/SiC複合材料ライナを燃焼器に適用することで、高効率化と環境性向上の両立に貢献する。
【めざす成果】 耐熱温度1400℃級の高耐熱性SiC/SiC複合材料部品の実現

また、CMCで構成された燃焼器部品は、分割構造とすることで損傷部のみの交換を可能とし、整備性向上へ対応する。燃焼器部品のCMC材料実用化に向けては、当社の高温セラミック成膜技術・グラファイト製造技術をコアに、高レート製造・低コスト生産を可能とする。

これらの燃焼器CMC部品を採用したジェットエンジンが航空機に搭載されることで、航空機の燃費改善によるエネルギー消費量およびCO2排出の削減と排ガス低減に貢献する。また、技術を他産業分野へ波及させることにより、様々な分野における製品の高付加価値化を進め、世界の経済と環境保護の両立に貢献していく。

連携先

川崎重工業株式会社と協力・連携

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