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セルロースナノファイバー(CNF)の製造プロセス・用途開発

大王製紙株式会社

概要

紙・パルプ産業では、二酸化炭素を固定化するサステイナブルな木材を主たる原料として利用している。この植物由来の原料を微細化することで「セルロースナノファイバー(CNF)」を造ることができる。CNFは、紙・パルプにはないさまざまな特性を有し、自動車、家電、建材、化粧品、塗料等の分野への用途展開が期待されているが、普及には、製造コスト低減が課題であり、多大なエネルギーを消費するパルプ繊維の微細化プロセスの省エネルギー化に当社は取り組んでいる。CNF普及のために、経済産業省が示すコスト目標を早期に実現できる省エネルギー型製造プロセス開発を達成し、供給体制の確立を目指す。
また、当社はユーザーと連携して、さまざまな用途開発を行っているが、特性の中でも軽量かつ高強度というCNF最大の特長を活かして、樹脂材料との複合化技術の開発により、自動車部材や家電筐体等の樹脂製品の軽量化、自動車の燃費向上の実現を目指す。

説明

植物由来の極細繊維CNFは、軽量、高強度、低線熱膨張、高粘性、透明性、ガスバリア性等の紙・パルプにはないさまざまな特性を有する。このような特性を活かして、自動車、家電、建材、化粧品、塗料等の分野へバイオマス用途展開が期待されている。CNF普及のためには製造コスト低減が課題であり、当社は多大なエネルギーを消費するパルプ繊維の微細化プロセスの省エネルギー化に取り組んでいる。すでに、当社三島工場(愛媛県四国中央市)に2016年に設置したパイロットプラントでは、安価な薬品等による前処理と機械的多段処理を組み合わせた製造プロセスについて、従来法と比較してエネルギー原単位を97%削減できることを実証した。この開発成果を基に、さらなる省エネルギー化と量産化を進め、経済産業省が示すコスト目標2030年に製造原価500円/kgを早期に実現できる供給体制の確立を目指す。
また、当社は水分散液だけでなく、乾燥体、成形体、複合樹脂ペレットの幅広いサンプル形態でCNFを提供し、ユーザーと連携して、さまざまな用途開発を行っている。中でも軽量かつ高強度というCNF最大の特長を活かしたCNF複合樹脂を開発することにより、自動車部材や家電筐体等の樹脂製品の軽量化、自動車の燃費向上が期待できる。CNFは極細繊維かつ親水性であり、疎水性の樹脂材料に均一に分散させ、強度向上を実現する材料設計が課題となる。当社のCNF製造プロセスで採用する機械的多段処理は、用途に応じた繊維サイズに調整できる利点を有するため、樹脂補強に適したCNFの調製が可能で、当社でこれまで培ってきた樹脂と複合化技術を駆使すれば1.7倍の力学物性(JIS K 7171:2016の曲げ物性)向上を実現できる設計は見出しており、この技術を基に複合樹脂量産化プロセスの開発を進める。省エネルギー型製造プロセスにより製造コスト低減できるCNF製造拠点で、樹脂材用として使用し易い複合樹脂化まで行うことにより、利活用に適正なコストでのCNF製品の供給体制構築を目指す。CNFの原料は、紙・パルプ産業で利用される二酸化炭素を固定化するサステイナブルな木材を主たる原料としている。CNFの特性を利用して、従来の石油製品との置換や軽量化が可能であり、さらに循環利用もできることから、脱炭素社会実現への技術である。

補足情報

詳細は、当社ホームページを参照下さい。
https://www.daio-paper.co.jp/development/cnf/

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