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省エネ車による自動車排気ガス中のCO2量削減

信越化学工業株式会社

概要

当社のネオジム磁石は、省エネ車であるHV車(ハイブリッド車)やEV車(電気自動車)のもっとも重要な心臓部ともいえる駆動モーターやジェネレーターに使用されている。また、システム制御のパワーコントロールユニットにも、当社の半導体材、封止材、放熱材が使用されている。省エネ車は従来のガソリン車に比べて、排気ガス中のCO2の量を大幅に減少させることができる。HV車では二酸化炭素を約40%削減、EV車では100%削減を達成している。(出典:経団連 グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献;以下経団連資料)

当社のネオジム磁石製造拠点は福井県とベトナムにある。北陸電力:再生可能エネルギー割合25%、ベトナムの電力:同38%と国内平均を大きく上回っており主力工場の配置にも十分に配慮している。当社では高度な技術の集合体であるHV車やEV車の仕様に耐え得る高品質な磁石や半導体材、封止材、放熱材など多くの製品開発を進めており、年々その出荷量を増加させている。今後さらに加速する世界的な省エネ車の普及政策の下で、当社はCO2削減に大きく貢献していきたい。

説明

従来のガソリン車の燃費を7.5ℓ/100km、省エネ車の燃費をその半分(50%)と定義する。(出典:経団連資料)また、一般的な自動車の年間平均走行距離10,000km、省エネ車1台当たりの平均ネオジム磁石搭載量を1kg(ユーザー各社情報から想定)として、当社の現在の省エネ車駆動モーター、ジェネレーター用ネオジム磁石出荷量から、現在のCO2削減量を計算する。
2019年の出荷量を基に推定した当社製磁石使用の省エネ車生産台数は、約120万台である。その全てが従来のガソリン車の場合の年間のガソリン使用量は、120万台/年×10,000km×7.5/100 = 900,000kℓ/年である。
ガソリン1kℓ当たりのCO2排出係数 0.624トン(出典:経団連低炭素社会実行計画における排出係数)から計算したCO2排出量は、900,000×0.624 = 561,600トン/年である。
前述の通り、省エネ車の燃費は従来のガソリン車の半分(50%)であることから、当社のネオジム磁石をはじめとする製品によって削減できたCO2量は、561,600×0.5 = 280,800トン/年 となる。
さらに、車の使用年数を平均10年と仮定すると、昨年出荷された当社製の磁石等の製品を使用した省エネ車は、10年間で約3百万トンのCO2削減に貢献することとなる。
今後、省エネ車の割合は急速に高まっていくと考えられ、現在の40%程度から2030年時点で50%~70%にすることが目標として掲げられている。(出典:日本経済再生本部 未来投資戦略2017) 2050年には、さらに省エネ車の普及が進み自動車排気ガス中のCO2量は2019年比で大幅な削減が期待できる。

今後の課題と挑戦
〇 省エネ車の普及拡大による需要増と高性能化への対応
・ ネオジム磁石:製造設備の増強による安定供給とリサイクル技術の確立、磁石の高性能化と小型軽量化
・ 半導体材料:微細化への対応、
・ 封止材:高密封性・高絶縁性の実現、
・ 放熱材料:高放熱性の実現

連携先

各自動車メーカー

補足情報

経団連 グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献
経団連 低炭素社会実行計画
日本経済再生本部 未来投資戦略2017

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