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技術のイノベーションによる「脱炭素」の実現に向けて

株式会社大林組

Obayashi Sustainability Vision 2050

Solar power plant for renewable energy business

The Obayashi Technical Research Institute “Techno-station” as a case of ZEB

概要

大林組グループは、さまざまな社会動向や当社グループを取り巻く事業環境の変化を捉え、経営基盤としてのESGや社会課題であるSDGsの達成への貢献を取り込み、グループ一体で「地球・社会・人」と自らのサステナビリティを同時に追求する「Obayashi Sustainability Vision 2050」を2019年に策定しています。
本ビジョンでは、2050年の「あるべき姿」を「地球・社会・人」のサステナビリティが実現された状態と設定し、その実現に向けた目標の一つとして当社グループ全体でCO2排出ゼロを実現する「脱炭素」を掲げています。この目標を着実に達成するため、さまざまなアクションプランを推進していきます。

説明

1. 技術の開発と実装

(1)ZEB(Net Zero Energy Building)の実現
技術研究所の中核施設となる本館テクノステーションは、「最先端の環境配慮」をコンセプトの一つに掲げて、自然光や自然換気、太陽光発電などの自然エネルギーの利用や、ICタグによる照明・空調制御などの次世代設備の採用、エコ意識を促す「省エネ効果の見える化」などを進めてきました。
さらに、空調・給排水・照明機器の制御の改善と高効率化、コージェネレーション排熱の有効利用、環境緑地をそのままに敷地内建物の上部空間を利用した新たな再生可能エネルギーの導入による買電量の削減、送電網の系統に影響を与える電力逆潮流の低減技術の導入などによりZEBを達成しています。
これら最先端のZEB技術とノウハウの活用により、建物の省エネルギー化や環境配慮などのニーズに対して高いパフォーマンスで応え、CO2排出量の削減、持続可能な社会の実現に貢献しています。

(2)水素社会実現に向けて
① 地熱電力を利用したCO2フリー水素の製造
水素は、利用段階でCO2を排出しないクリーンな次世代のエネルギーとして、燃料電池車や水素発電の分野で活用が期待されています。ニュージーランドにおいて他社と共同で、再生可能エネルギーである地熱発電電力を用いてCO2フリー水素を製造するプラントを建設し、実証実験を行っています。製造から流通まで一連のサプライチェーン構築のための社会実装研究を進め、将来の事業化を目指します。

② 市街地で水素による熱と電気を供給するシステム
水素を燃料とする水素コジェネレーションシステムから発生させた熱や電気を近隣の病院などの公共施設に供給し、地域コミュニティ内でのエネルギーの最適制御システムの実証試験を行い、燃料安定性や運用性の検証を進めています。将来、経済性と環境性を確保できるエネルギーマネジメントシステムの確立を目指します。
これらの実証実験等を通じて得られた知見により製造と利用・運用の両面から水素社会の実現に貢献します。

(3)低炭素型資材の適用
「クリーンクリート」は、セメントの一部を産業副産物である高炉スラグ微粉末などを用いることでCO2排出量を大幅に削減した低炭素型のコンクリートで、一般的なコンクリートに比べてCO2排出量を最大80%程度低減できます。2010年の開発以降、自社施設や東日本大震災復興事業などの建設工事で使用し、これまで延べ19万m³に適用しています。また、CO2排出削減量を対象として国がクレジットを認証する「J-クレジット制度」の活用により、一層の適用促進を図っています。

2. 再生可能エネルギー事業の展開
再生可能エネルギー事業は2012年に着手以来、太陽光28カ所、風力1カ所、バイオマス1カ所の発電所が既に稼働しており、発電の規模は154MWに達しており、1年間につくられる電力量は約7万世帯分の年間消費電力量に相当します。
今後も風力、地熱などの自然エネルギーを活用した発電事業を推進し、自ら発電事業を手がけることにより、脱炭素社会の実現を目指すとともに、EPC(Engineering, Procurement and Construction : 設計、調達、施工)のノウハウを蓄積し、次世代エネルギーのニーズに最適なソリューションで応えます。
また、発電事業により創出される一次エネルギー量と建設施工時に消費する一次エネルギー量の収支をゼロにするZEC(net Zero Energy Construction)への取り組みを進めています。

3. ファイナンス
地球環境に配慮し環境負荷を低減する取り組みなど調達資金の使途を定めたボンドを発行し、持続可能な社会の実現に向けたプロジェクトを推進しています。

(1)大林組グリーンボンド
環境改善効果がある事業である再生可能エネルギー事業や省エネビルディングの建設などに要する資金を調達し、太陽光発電・風力発電事業(陸上・洋上)及び環境配慮型開発事業であるグリーンビルディングの開発に充当しています。

(2)大林組サステナビリティボンド
社会的課題の解決、ポジティブな社会的成果の達成を求める事業や気候変動など環境問題に対処することを意図して資金を調達。環境に配慮し「すべての人に優しいスマートビル」をコンセプトとした「ウェルネス建築」、建設業の担い手確保と調達先との信頼関係の強化、再生可能エネルギー事業である水素製造プラント実証実験、バイオマス発電事業及び陸上風力発電事業に充当しています。

連携先

1(2)① :Tuaropaki Trust(トゥアロパキ・トラスト)(ニュージーランド)
1(2)② :国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、川崎重工業株式会社

補足情報

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