EN

省エネ技術の海外移転・普及活動による地球規模での温暖化対策の推進

一般社団法人日本鉄鋼連盟

中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術専門家交流会

技術カスタマイズドリスト

各国が導入した日本の省エネ設備による削減効果

概要

当連盟では低炭素社会実行計画の下、参加会社一丸となって世界最高水準にある日本鉄鋼業のエネルギー効率の維持向上に努めるとともに、日本が開発・実用化した省エネ・環境技術を途上国に移転・普及することで地球規模での温暖化対策に取り組んでいる。
現在、世界の粗鋼生産は約19億トンであるが、一人当たりの鉄鋼蓄積量をみると先進国が概ね8~12トン/人(日本は10.7トン/人)であるのに対し、世界平均は4トン/人程度にとどまる。今後、多くの国や地域が先進国並みに発展していく上では一人あたりの鉄鋼蓄積量の拡大は必至であり、地球規模で天然資源ルートからの鉄鋼生産量が拡大することも確実である。
それら鉄鋼新興国において製鉄所を新設するに際し、すでに日本が開発・実用化した優れた省エネ設備を標準装備することができれば、毎年数千万トン規模のCO2排出の回避が可能となる。エコソリューションの展開は、技術開発と双璧をなす極めて効果的な地球温暖化対策の取り組みである。

説明

当連盟では低炭素社会実行計画の下、参加会社一丸となって世界最高水準にある日本鉄鋼業のエネルギー効率の維持向上に努めるとともに、日本が開発・実用化した省エネ・環境技術を途上国に移転・普及することで地球規模での温暖化対策に取り組んでいる。
現在、世界の粗鋼生産は約19億トンであるが、一人当たりの鉄鋼蓄積量をみると先進国が概ね8~12トン/人(日本は10.7トン/人)であるのに対し、世界平均は4トン/人程度にとどまる。今後、多くの国や地域が先進国並みに発展していく上では一人あたりの鉄鋼蓄積量の拡大は必至であり、地球規模で天然資源ルートからの鉄鋼生産量が拡大することも確実である。
こうした中、水素還元等の超革新的技術を開発していくことに加え、これらの技術が実用化されるまでの間、現在稼働中の設備※1や短中期的に新設・増設※2される設備において、既に実用化されたBAT※3を実装し、地球規模で鉄鋼業のエネルギー効率を向上させていくことは地球温暖化対策の観点から極めて有効である。
当連盟では、中国との「日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術専門家交流会(2005年~)」、インドとの「日印鉄鋼官民協力会合(2011年~)」、アセアン諸国で開催している「日アセアン鉄鋼イニシアチブ(2014年~)」など、二国間、多国間連携を通じて、日本鉄鋼業の省エネへの取り組みや技術の紹介、相手国政府に対する省エネ分野での政策提言などを実施してきている。
インド、アセアンとの連携においては、日本主体で開発した鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法の国際規格ISO 14404※4を用いて、これまで7か国26製鉄所を対象に製鉄所省エネ診断を実施してきた。また、診断結果を基に日本の専門家と当該国・地域の技術者が対話を行い、それぞれの国・地域に特化した技術を「技術カスタマイズドリスト(インド版・アセアン版)」として取りまとめ、これを官民会合の場で共有してきた。
さらにこの一環として、2019年度から実施されているタイ、フィリピン、インドネシアにおけるJCM(The Joint Crediting Mechanism:二国間クレジット制度)案件発掘事業においても、これまでの「日アセアン鉄鋼イニシアチブ」での交流や推奨技術の提案等の成果が活用されている。
なお、日本鉄鋼業において開発・実用化された主要な省エネ技術が、中国、韓国、インド、ロシア、ウクライナ、ブラジル等の海外に導入され、そのCO2削減効果は2018年度断面で合計6,553万t-CO2/年にも達している(日本鉄鋼業が排出しているCO2の約3割に相当)。
一方、次の様な課題も明らかになった。途上国・新興国の鉄鋼メーカーでは、設備導入において性能よりも初期投資やランニングコストが重視される傾向にある。その結果、導入後の設備トラブル等により必ずしも最大限の省エネ効果が発揮されていないケースが顕在化している。省エネの実効性を上げるためには設備の性能はもちろん、稼働率やメンテナンスコストを含め、総合的な視点で設備選択が行われることが重要である。当連盟では、エコリューションの実効性を高めるために、より効果的な省エネ推進の一助となる評価手法やガイダンスについてのルールメイキングにも着手したところである。
前述のように途上国・新興国においては今後も鉄鋼製造設備の新設・増設が進み、鉄鋼生産量の更なる拡大が予想される。当連盟では、このエコソリューションの活動をさらに強力に推進し、毎年1億トン規模の世界のCO2排出削減にチャレンジし続ける。

※1 今世紀に入り急速に鉄鋼生産量が増加した中国、インドでは、2010年以降に粗鋼換算約2億トン分(中国では約1.6億トン、インドでは約4千万トン)の高炉への設備投資が行われた。一般的に高炉の投資回収年数は15~20年ごとのレンガのリライニングを含めて、約50年以上とされるため、今後数十年にわたりこれらの設備の稼働が続く。

※2 インドでは、「NATIONAL STEEL POLICY」の中で、2030年に向けて、自国の鉄鋼生産能力を3億トン(高炉で1億8千万トンから1億9,500万トン)へ拡大することを政府方針として打ち出している。また、中国鉄鋼業による海外への事業展開により、2019年1月現在の稼働済の設備で粗鋼換算約800万トン(ASEANでは約790万トン)、計画中の設備で約7,500万トン(ASEANでは約5千万トン、南米では2,300万トン)もの設備投資が行われている。

※3 ここでいうBAT(Best Available Technologies)とは、製鉄プロセスから発生する副生ガスの有効活用やCDQ(Coke Dry Quenching:コークス乾式消化設備)やTRT(Top Pressure Recovery Turbines:炉頂圧回収タービン発電設備)等による排熱回収技術を指す。RITE(公益財団法人地球環境産業技術研究機構)によると副生ガスの有効利用やCDQ、TRT等の設備導入のポテンシャルは日本以外の国では未だ大きいことが示されており、このことは特にビンテージの低い設備や今後新設される設備に対してこれらBATを実装させることで大きな削減効果が期待できることを表している。
参考:RITE「2015年時点のエネルギー原単位の推定(鉄鋼部門‐転炉鋼)」
http://www.rite.or.jp/system/global-warming-ouyou/download-data/EnergyEfficiency2015.pdf

※4 ISO14404は、製鉄所全体をバウンダリーとして、粗鋼生産量とエネルギーの購入量と外販量といった通常の操業データのみを活用し、エネルギー消費量/原単位やCO2排出量/原単位を計算する手法で、日本が主導して開発した。足元、Part1(高炉用)、Part2(電炉用)、Part3(DRI電炉用)が策定されており、複雑な設備構成の製鉄所でも適用できるようにISO14404のガイダンス規格を開発中である。

補足情報

一般社団法人日本鉄鋼連盟 低炭素社会実行計画
https://www.jisf.or.jp/business/ondanka/kouken/keikaku/

この会社の他の事例

COURSE50プロジェクト

一般社団法人日本鉄鋼連盟

> 詳細を見る

水素還元製鉄技術等による『ゼロカーボン・スチール』の実現

一般社団法人日本鉄鋼連盟

> 詳細を見る

類似事例

2050年ゼロエミッションを目指して

日本航空株式会社

> 詳細を見る

48Vハイブリッド車向けエンジン出力軸直結型ISGシステム

三菱電機株式会社

> 詳細を見る

CCS実現に向けた取り組み

日揮ホールディングス株式会社

> 詳細を見る

CO2回収に適した次世代火力発電(酸素吹IGCC)の実現

電源開発株式会社

> 詳細を見る

CO2排出ゼロ飲料・酒類製造に向けた再生可能エネルギー導入

サントリーホールディングス株式会社

> 詳細を見る